タナクリームの施工後に発生するクラックは大きく2種類あり、それぞれクラックの形状や原因が異なります。

 

下地の動きによるクラック(構造クラック)

【原因】

建物は常に体感できない程度動いているものです。例えば木造では木材の乾燥状態に応じて若干のソリや動きが生じる場合もありますし、鉄骨造では気温の変化によって鉄骨が膨張収縮を繰り返します。

そういった建物の動きは壁の下地にあたる石膏ボードなどの継ぎ目の動きとして現れます。この時、自然素材であるタナクリームがその動きに付いて行けずにひび割れが発生するのです。このクラックを一般的に構造クラックと言います。

構造クラックは下地の継ぎ目に沿っているため、直線的である事が特徴です。

【予防策】

構造クラックを防ぐには下地の継ぎ目を少なくする事です。新築時にタナクリーム施工をご検討中の方は、事前に工務店などに対してボードの貼り方を工夫してもらえるようご相談ください。

また、リフォームなど既存下地に施工される場合は、継ぎ目の状態を確認し、クラックがあれば事前にパテなどで補修を行ってから施工してください。

【発生時の補修】

構造クラックは直線的に現れることが多いため、タナクリームを筆に取り、タッチペン的に補修することができます。ただし、補修痕が残る可能性がありますので、完全に補修する場合はクラックの発生している面を全面的に重ね塗る事になります。

 

 

乾燥時の収縮によるクラック(収縮クラック)

【原因】

タナクリームは施工後にまず水分が蒸発し、その後、空気中の二酸化炭素との化学反応で硬化します。この水分の蒸発によって、もともと水分があった場所が空洞化し、体積が収縮します。その結果、表面に細かいクラックが発生することがあるのです。このクラックを一般的に収縮クラックと言います。

収縮クラックは数ミリから数センチ程度の長さのクラックが同じ箇所に複数発生することが多いクラックです。

【予防策】

収縮クラックは規定の塗り厚を超えて施工した場合に発生します。タナクリーム1日仕上げであれば塗り厚2mm以内、タナクリーム#200プラスであれば塗り厚1mm以内を守れば問題ありません。しかしながら、一般の方が施工するとなると、どうしても下地の凸凹などの影響もあり、部分的に厚く塗ってしまうケースも少なくありませんので、気をつけてください。

【発生時の補修】

クラックが発生している部分のみを重ね塗りで補修することができます。ただし、補修痕が目立つ場合は面全体の重ね塗りとなります。

 

 

その他の注意点

タナクリームは自然素材のため、施工時の気温や湿度、下地の状態、コテの動かし方などで仕上がりに違いが生じますし、クラックについては今回ご紹介した代表的なクラックだけでなく、様々な要因によって起こりうるものです。

今回は、出来る限りクラック発生を防ぐための方法をご紹介しましたが、100%クラック発生を未然に防ぐのはタナクリームの特性上、困難です。

「割れたらもう一度塗ってみよう」という軽い気持ちで挑戦していただくことが、自然素材と向き合う本当の醍醐味かもしれません。

また、今回ご紹介したクラックは、どちらも建物の強度に影響するものではありませんし、壁の剥落につながることもありませんので、ご安心ください。

 

[執筆:スタッフI]