ご好評いただいております「漆喰をめぐる旅」第4弾は、田中石灰工業の地元・高知県の風景をお伝えします。
高知県では、台風をはじめとする海からの風雨から建物を守るため、独自の建築文化が育まれてきました。漆喰文化も、全国的に有名な「土佐漆喰」として大きな発展を遂げています。
土佐漆喰の貴重な住宅・建造物が今も残る町
土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の終点である高知県東部の奈半利町には、伝統的な土佐漆喰の住宅や建造物が現在も多数残っています。
奈半利駅付近の可愛らしい案内板からも、町並みガイドに力を入れていることが窺えます。
2時間あれば、徒歩でガイドマップの推奨コースをまわれるそうです。
国の登録有形文化財、藤村製絲株式会社の繭蔵
奈半利の町並みに現存する伝統的建造物には、漆喰の壁面に水切り瓦がついた土佐の民家特有の造りが特徴の一つとして挙げられます。
水切り瓦は、風雨が激しい土佐の地域独特のもので、瓦にある小さな庇によって壁面に直接雨がかかるのを防ぎ、漆喰の白壁を保護する役目があります。(なはり浦の会HPより)
その代表的な建造物が、国の登録文化財であり、近代化産業遺産でもある藤村製絲株式会社の繭蔵です。
江戸時代以降、高知県で生産する生糸は石灰、和紙とともに「土佐三白」と呼ばれ、土佐を代表するこれらの白色の地場産品は、全国に出荷されていました。
この壁一面に見られる六段の水切り瓦は、この地域でも一番多い段数で、当時の繫栄の様子が窺えます。
現在は工場であった屋内を改装して、藤村製絲記念館として貴重な資料などが展示されています。
また、現在の内装の一部は、当社のタナクリームで施工されています。
もう一つの特徴、石塀
奈半利の町並みに残るもう一つの特徴は、個性豊かな石塀です。
土佐漆喰の民家の外壁は、このような様々な表情で彩られていました。
最後に、ギャラリー見学とカフェでひと休み
こちらも登録有形文化財である、竹崎家住宅(高田屋)です。
蔵は、竹崎家の貴重な調度品などを公開するギャラリーとなっており、併設する家屋はカフェになっています。
今回、ほんの一部しかご紹介できませんでしたが、たくさんの個性ある民家が現存し、歴史の流れの中に今も人々の生活が根付いているまち、奈半利町。
高知県東部でなかなか行く機会が少ない場所ではありますが、この町並みの魅力を多くの方に知っていただけたらいいなと思います。
【漆喰をめぐる旅】シリーズのバックナンバーもあわせてご覧ください。
[執筆:スタッフF]